切絵作家の美意識

切り絵作家の活動、美意識等を書いていきます。

【切り絵を切ることは、生きること】自動車技術会支部報『高翔』取材を受けて

f:id:Tantan1209:20240304151831j:image

 

自動車技術会支部報『高翔』81号に掲載していただきました。自動車業界の新技術等についての自動車技術会という、ちょっとマニアックな冊子ですが、3万人程の読者がいらっしゃるそうです。

 

掲載内容は、日頃自動車関連等の企業に勤める女子社員さんに、切り絵のワークショップに参加していただきつつ、麻布十番のPaZZLE Orchestra-Loungeにて、フレンチモンスターのスイーツを頂きながら、女子会形式で切り絵作家の目線と会社勤めの皆様の目線とで色々なお話会をする、というもの。数ページにわたりご紹介頂きました。

 

私は企業勤めを殆どした事がないので(契約社員や派遣もやってみた事があるけど毎日同じ時間同じ場所に行くのがむずかしくて10ヶ月もたなかった…)会社員経験があって、仕事出来る企業勤めのOLさんうらやましい!と思っているのですが、日頃会社に勤めている人からすると、フリーランスで自らの意思で判断しながら仕事をしていくことにもまた同じことを感じるそうです。お互い無い物ねだり笑

 

せっかくなので、アーティスト、フリーランスとしての良い面と苦労する面とをお話をしました。普通の仕事の仕方とはスタイルが異なる事も多いかもしれませんが、業種が違っても、仕事をしているという事には変わりありません。仕事をすることは生きること。それが私にとって切り絵なので、そのようなお話をさせていただきました。

 

f:id:Tantan1209:20240304151827j:image

 

フリーランスとして苦労する点といえば、体調を崩した時に全部それが活動に関係してくる、という点ももちろんですが、例えば百貨店や展示会等では、作品・商品企画制作、営業、店頭に立つこと等、「仕事」として成り立たせるために必要とされることは全てやります。その最中、例えばコロナ禍の時のように、百貨店の催事が中止になったり、かろうじてお店がオープンしても人が来なくなったりすると、別の形を考えなければならず、ゼロから売り方やスタイルそのものを変えないといけない時もあります。世の中の変化に大きく左右されながら、その激動と共にやり方を変える必要があります。それこそ、ピンチはチャンスと前向きに考えスピーディーな切り替えが必要になってきます。切り替えた時に、必ずしもそれが自分の今までの考え方や価値観と一致するとは限らなくても、突き進まなければならない時があります。

 

そういう時、作家としてどうなのかという矛盾は抱える事になるのですが、これも変化を前向きにとらえていく必要がある時があります。作家としてこだわって自分のポリシーに反することは決してやらない、というのもまた一つのあり方ですが、私は子供たちを育てていく必要があるので、ポリシーばかりを重視していられない時もあります。そういう時は、たとえこれまでに自分の価値観にはなかったことで、数年前の自分だったらやらなかったな、と感じるようなことでも、そのハードルが高ければ高いほど、その経験そのものが作家としての幅を広げてくれる大きなきっかけになるかもしれないと思うようにします。よく、役者の経験は何でも肥やしになる、と言うけれど、それと似たようなこと。

 

初めのうちは形だけ「思うようにしよう」って思っているわけだけど、だんだん本当にそう思えるようになってくる。創作するのにも結構大切な「思い込める力」は、こんな思わぬところで役立ったりします。

 

切磋琢磨しているうちに、ドラクエのレベルアップの「タラララッタッタッター」という音が聞こえてくるような気がします。自分でできる事や知識が増えた時。そんな時のやりがいと達成感はかなり大きいです。それはすごく良い面だと思います。切り絵で仕事をやっていく上では普通に勤めるよりも山あり谷ありはあるかもしれませんが、大きな生きがいや達成感を感じることができるので、続けていくことができます。でもこれは、どんな仕事にも当てはまる事だと思います。そんな感じで、切り絵の創作の事以上に、仕事の向き合い方についてを沢山お話したと思います。

 

それから、自動車業界の冊子なので、これからの自動車についてのお話も少し伺いました。

 

電気自動車や自動運転が主流になっていくけれど、世の中には様々な趣味趣向から、ガソリンで走りつつナビがない車で走りたい という人もいます。電気自動車ではなく、従来の自動車を愛する背景には、単にアンティーク好きだからというだけでなく、より人間らしくいられる選択肢の一つ、という人もいます。だから、そうしたアナログなものも残して欲しいなと願っています。

 

社員さんからは、それについてこんなお話しを伺う事ができました。

 

生活の必需品としての自動車もあるだろうし、空飛ぶ車を目指すこともできる。高齢化も進み、ラストワンマイルモビリティも必要とされるだろうなと感じる、自分は新しいものが好きなので、どうしてもそちらに目がいくけれど、同期に「日産自動車のシルビアが好き」という人もいるので、そういう方がいる限りは古き良きというものは なくなっていかないと思う、というお話とを伺うことが出来たのはとてもよかったです。

 

あっという間に数時間が経ちました。皆さんそれぞれ素敵な切り絵ランプシェイドを制作していかれました!

 

f:id:Tantan1209:20240304151824j:image