ポップアップストア・ポップアップレストランの開催、考えていたりしますか?
ポップアップストアは、ポップアップショップとか、期間限定ショップとも言われており、ある時期だけひょっこりお店が現れて、期間がすぎると跡形もなく去っていくお店で、知っている方も多いと思います。
ポップアップレストランは、2010年時点では、国内にはほとんど見られず、イギリスではその業態が急増し始めたといいます。(Jetro 記事参考)
この数年で、百貨店やショッピングモール等でのポップアップショップを経て感じたことや、元々実家がフランス料理店だったことから、飲食のポップアップの今後の流れも気になっているので、この2つについて、触れていきたいと思います。何かのお役に立つようでしたら幸いです。
これから初めてポップアップを経験される方は、販売が中心のポップアップでは、特にマーケティング要素、飲食が中心のポップアップでは、特にコミュニティ力を意識して取り組んでみるのがおすすめ。
まず、ポップアップストアについて。
海外ではPOP UP Store、国内ではPOP UP SHOP 等と言われることが多いですが、大抵の場合、家賃としてではなく、売り上げから00%、というような取り決めの中で展開されることが多いです。
ですので、出店する側にもリスクがなく、テナント側も、普段使われていないスペースに誰かが入ることで、そこから副収入を得ることが出来、ここ数年話題になっています。
百貨店等では、だいぶ昔から、ある一定の場所に催事スペースが設けられ、そこでポップアップストア展開されている風景には馴染みがありますね。
では、巷で急増中のPOPUP Store という文化自体は、一体どこからきているのでしょうか。
その歴史を辿ると、2002年、ロンドンのチェルシーで大手スーパーがクリスマス商戦で勝ち抜くため、埠頭に船を浮かべ仮店舗を開き、お客さんの注目を集めたのが広い意味での始まりなのだそうです。
それ以来、ファッションや文具、食品、自動車等、様々な分野の店舗がポップアップストアを開くようになりました。
ポップアップストアの出店者側のメリットには、2通りあります。
1つは、低コストで期間限定で店舗展開することで、そこからリスク少なく売り上げを得られること。
もう一つは、プロモーションやマーケティング等の側面から、知名度をあげたり、お客さんの反応を見ながら、次に何をすべきかを考えることができること。
ポップアップをすることで、そこから売り上げを出していくことも重要ですが、特に重要なのは、プロモーション、マーケティング部分になるかと思います。
本来、ポップアップはイベントですので、主軸となる活動に対してどんな影響があるのかがとても大切になってきます。
例えば、タイル屋さんが、いつものタイル素材でアクセサリー素材を作りアクセサリーショップとして販売をします。そうすると、タイルだけを作っていたら辿りつかなかったお客さんと出会える機会が増えたりします。そこで、様々なタイル素材をこれまでになかった客層に見ていただくことで、新しいタイル素材に対する考え方が生まれたりします。
また、傘屋さんが、どのデザインを量産すると、在庫を残さず販売の流れがよくなるんだろう、ということを見るために、たくさんのデザインを並べてみて、女性向け、男性向け、それぞれ一番人気のあったデザインに絞って行くことができる、等。
私の場合でしたら、元々は、アートとして、デザインとしての切り絵作品を作ることが主でしたが、百貨店でのお仕事をいただくようになってから、切り絵の技術と特殊な紙でかつてないジュエリーを作るため、紙素材を吟味し、箔の世界に打ち込みながら、あれこれと試行錯誤を重ねるうちに、作品に使う素材や、作風にも大きな影響がありました。
こうしたことを、ポップアップストアでは、期間限定の店舗で、リアルな反応を見ながら判断していくことができると、今、何が求められているかがわかることが多いです。
ですので、ポップアップストアでは、プロモーションで、新しい客層を開拓したり、マーケティング効果を得られることが多いのが、出店者側としての真の意義になるかと思います。
次に、ポップアップレストランについて。
これまで、百貨店や大型のショッピングモール等にはポップアップが多く見られていましたが、ここ数年、小さいお店が通常閉店している時間を、別の店舗が入る等、店舗スペースを無駄なく使っているケースが増えてきました。
例えば、そうした運営が比較的しやすいのがポップアップレストラン。
日本では、ここ3年〜4年で、ポップアップレストラン・カフェ・バー等、徐々に飲食の分野でポップアップ展開が見られるようになってきました。特にここ1〜2年は急増しているように思います。
飲食の分野でのポップアップ展開が盛んになると、貸し手にとっても借りてにとってもまさにWin-Winの状態になり、プラスの面が多いですね。
飲食の場合、「ランチタイム」「ディナータイム」「バータイム」と、大きく3つに分けられ、通常ランチ〜ディナータイムのレストランは、テナントを借りるだけの資金力はまだないけど期間限定でバーをやりたい、という人に夜〜深夜の時間帯だけ場所を貸すことができると、レストラン側は副収入になり、バー側はリスクなく店舗を実現できるのです。その逆もあります。
この、飲食店でのポップアップでの最大のメリットは、飲食店を立ち上げるにあたって、調理場の設備調整や食器等、大きいところから細々としたところまで、結構コストがかかるところですが、そうした物を全て借りられるようなスタイルだと、出店側の負担がかなり減ります。
備品を統一感を持たせた上で1から揃えたり、持ち運びするのは大変なので、数時間の間だけ使わせていただくスタイルなら、食器等については使わせてもらえるところにして、コンパクトに、荷物を最小限に抑えてのフットワークの軽い感じを重視するに越したことはないですよね。
そんな感じで、一つの場所(時間)を余すところなくつかえると、皆、ハッピーになれますね!
・・・ただ、うまく実現して継続していくためには、お互いにそれなりの信頼関係が必要ですけどね。
飲食のポップアップでは、物をうることが中心のストアとはちょっと異なった打ち出し方とメリットがあります。
ストアの場合は、どちらかというと新規顧客開拓、マーケティングの要素が強いですが、(ただ、アフターコロナでは、飲食と同様、次にお話するSNSからの流れが、ストアでもこれまで以上に重要になってきますが、)飲食の場合だと、借りる先のお店が大抵閉店している時間に入ることになるので、イメージとしては、ストアが「オープン」スペースなら、飲食は「クローズド」な空間での開催となりますね。
クローズド空間への集客は、元々ポップアップを開催する側の知名度があれば自然とお客さんは流れてくると思います。
でもそうでなければ、開催するお店側との連携をとって告知をしていただきながら一緒に盛り立てていくか、SNS等で友人やファンにお越しいただくことになると、ちょっとしたコミュニティ要素も含まれてきます。
友人のお誘いで、京都を中心にPOP UP BAR 活動をしていた、 吉本悠祐さん(通称よっぴー)のイケ麺バーに行った時のこと。
私が知っていたのはその友人だけだったけど、京都の隠れ家的古民家のような路地の一角にある、こじんまりとしたバーの一室にいた人たちは、皆知らない人のはずなのに、なんだか昔から知っているような心地の良さを感じて、また行きたいなあと思いました。
コストを抑えたうえで、リスクのない飲食店経営ができることもメリットですが、この感覚こそが、ポップアップ飲食店の最大の魅力と言えるのではないかと思います。
ちょっと話はそれるのですが、関連してくるお話では、「すきま」の場所や時間でコツコツ利益をあげて行ったある会社のお話をします。
あきスペースの運用では、使っていない時間帯で、2〜3時間程度のパーティースペース貸しをしたり、深夜の時間帯をクラブイベント等で使ってもらうパターン等もありますが、この、2〜3時間ほどの短時間、スペースをパーティー運用して大きな収益にしていくのは結構大変な事。
そうしたミニマムな活動から少しづつ信頼を得ていき、空きスペースでのパーティーマネジメントからスタートをさせた、SLDという会社があります。
SLDは、SOLID(ソリッド)という音楽イベントからはじまり、まだイベント集団だった頃に、私は切り絵の装飾部隊として参加していました。法人化の時に、超頭数要員として監査役員にもなっていた時があるのですが、このSLDは、法人化してからの勢いがとにかく凄かったです。
ちなみに、なぜビジネスのいろはもわからない切り絵作家の私が監査役なんかをやっていたかと言うと、現在は、1円からでも役員1人からでも起業可能になりましたが、当時は、1円会社等でとりあえず起業はできるものの、まだ役員を数名揃える必要がありました。なので、本当に私は頭数です笑
さて、そのSLD、パーティーコーディネートの事業をはじめてから1年後には、スペースマネジメントとして飲食店の第一号「瓦カフェ」を渋谷の宇田川町にひらき、そこからいくつかの飲食店のブランドチェーン店を立ち上げ、飲食とアートと音楽を融合させながら、それぞれのお店のカラーをうまく差別化していき、わずか5年後には70店舗以上の飲食店を立ち上げ成果をあげていき、さらにその5年後には上場を果たしました。
はじめのうちは、ごくごく小さな草の根的なところからコツコツ初めて、「開いた場所があるなら埋める」という形で、徐々にできることを増やして行ってました。そこに、仲間意識や一体感や若さの情熱が加わり、加速度的に伸びていった印象です。懐かしいなーみんな若かったなー。
なぜ、それほどまでに勢いよく順調に伸びていったかといえば、中心核のメンバーにも、イベント周辺にも頭のいい感じの人たちがたくさんいて、平均年齢23歳前後の若さというのもありますが、事業としては、とにかく、場所や物事の「すきま」を上手に料理できていたことも大きかったですが、根底では、周りを巻き込んでいくコミュニティ力が全てを支えていました。
何をするにも、仲間って大事ですよね。
ながくなりつつあるので、 この辺でポップアップの異議の要点をまとめると、
・ポップアップストアの場合は、新規のお客様開拓、マーケティングがネック
・飲食店ポップアップの場合は、コミュニティを広く深めていく場としての提供が大事
と、こうなるのではないかと思い、まとめてみました。
ただ、私はあくまで切り絵作家ですので、より良い情報は、専門の人からアドバイスいただくのが良いかと思います!
長々とお読みくださり、ありがとうございました!