過去の作品を大整理。20代前半の時に作った、「母性」、A0サイズくらいのまあまあ大作。なぜか、子供を持つことさえも想像がつかなかった20代前半に、子を持つ母親の心情を切ったもの。今この作品を自分で見ても、子供を思う気持ちは、たしかにだいたいこんな感じかな、って思える。
どんなことがあっても、とにかく前へ前へと進んでいく。転んだまま立ち止まっている場合じゃない。ゆっくり抱きしめている時間も大事だけど、何かあった時にがむしゃらに前へと突き進んで行く行動力も大切で、我が子を守るということは、時に抱きかかえ、時に背負って、自立するその時まで共に生きていくということ。自立した後も、常に子供の味方でいるということ。そんな母親の芯の強さを描きたかった。
今思うと、自分が子供を持つとしたら、そんなふうに愛したいな、という気持ちと、母の私に対する愛情とが重なり合って、思い立ってひたすらナイフで切り込みを入れていたのかもしれない。
作品は時にメモリーでもある。人生色々あるけれど、この腕さえあれば、大抵のことは乗り越えられる、と、様々なことが、ただただひたすら一つ一つの切り込みの中に、昇華されていく。どれだけ切ったかわからないほどの時間がたったとき、小さなピースの数々が、生きることの尊さや、その時々の真実の一つひとつを教えてくれている。
インスタ「KIRIERIUM」にて、タンタンの切り絵アート情報をご覧いただけます。