切絵作家の美意識

切り絵作家の活動、美意識等を書いていきます。

切絵・金箔・漆、特許出願。

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KIRIE Jewelry HAKU / FUWARI 特殊な紙で繊細な透し彫りに、漆と箔貼りの工芸技術。様々な想いを載せて、特許出願致しました。 特願 2019-9249

 

去年の夏より、漆職人さんのお教室を受け、金箔講座を受け、ようやく形になったキリエジュエリーHAKU。切絵と漆と金箔、3つの工芸技術が備わった、工芸宝飾として、この夏、いよいよ本格的にその歩みを開始致します。

 

 

私が主に使うのは、純金箔とプラチナ箔、時々模様箔。

 

ジュエリーとしては、重厚感はそのままに、とても軽く、長時間つけていても一切負担にならないジュエリーを実現。

インテリアとしては、ダイナミックなデザインやサイズ感で、貴金属の輝きをオブジェやインテリアとしてお楽しみいただきつつ、持ち運びも負担にならない、空間を作るクリエイティブアートを実現。

 

特許出願に踏み切るまで色々と悩みもありましたが、「こんなの、他に見たことない」と言っていただける場面も多く、今回決断に至りました。

 

本当に様々な方に支えられながら、この新しい技術がどんな歩みを見せていくのか、多くの皆様にご期待いただけたらと思います。

上野マルイPOP UP

マルイでの長期ポップアップ、開始!   5月後半は上野マルイ、6月前半は横浜マルイ、6月後半から8月頭まで中野マルイと、初の長期スパンでのPOP UPです。       まずは上野マルイから。     海外の旅行者のお客様が多かった上野マルイでは、HAKUが好評でした。 上野動物園近くということで、会期中少しづつ装飾を増やす中、パンダも作りました!     JUGEMテーマ:オリジナルジュエリー・アクセサリー

PLUGIN 交換プログラム「Who's Next」出展決定

3月に渋谷ヒカリエで行われたファッション系産業展、

「PLUGIN」でのご縁で、メゾンエオブジェ へのグループ出展に参加することが決定いたしました。

 

メゾンエオブジェ は、「Who's Next」と同時期ですが、メソンエオブジェグループ出展のチームリーダーに、ワーカーさんにお願いしての同時出展でもOKということで、海外初出展でありながら同時出展というかなりイレギュラーな挑戦。

 

しかし、様々な想いと思惑で、無理を承知で今回の当時出展の実現を決断致しました。

そのことについてはまた追って・・・・

 

 

フルート奏者のデュオ、[kaleidoscope]

      オランダで活動をしているフルート奏者、築城さんと Katjaさんのデュオ、

 


[Kaleidoscope]

のロゴデザインをさせていただいています。


美しきお二人のフルートの音色は、サイト上の動画でご覧頂くことができます。本当に素敵だーー!


築城さんはもともと英和の同窓生であり、放送部の後輩でもある人で、昔はショートヘアで雰囲気もボーイッシュだったけれど、こんなに美しくなって音楽の道を極めています。





そんな彼女からものすごく久し振りに連絡が来て、ロゴ制作のご相談をいただきました。ロゴのイメージは、二人のフルートの音色の融合。



ひさびさに繋がることが出来たのは、SNSのおかげ。 なんという素敵な時代。







二人がオランダから送ってきてくれた、キリエジュエリー着用の写真があまりにも素敵すぎて、パンフレットに、看板に、ポスターに、と、あらゆるところで使わせていただいています。


キリエジュエリーの軽さ、エレガントさ、優美さを見事に表現してくださっているこの写真が、数々の写真の中でも一番のお気に入り。



去年は築城さんが帰国の際、これまた同窓生の先輩が企画プロデュースしたリサイタルでの演奏を拝見する事が出来ました。おちゃめさは昔のまま、珍しいフルートについての解説等を披露していました。

皆、それぞれの道で開花している。すごいなー。


Kaleidoscopeの二人が、コンサートに身につけてくれたジュエリーの写真、 コンサート後のワンショット。






ホールでのステキなコンサートで身につけてくれて本当に嬉しい。背景のパイプオルガンも素敵。これからも末長く、素敵なフルートの音色を奏でて下さい♪


オランダにおいでの方は、是非Kaleidoscopeの演奏にも訪れてみて下さいね。

国内か、国外か。

去年、ロンドン在住の方が日本に帰国されたと言う事でご紹介頂き、海外でのアートについてをお伺いしました。


ロンドンでは芸術への投資が盛んなようで、投資家が美術品投資等を行うのが盛んなようです。それは、すでに有名な亡くなっている作家のものばかりでなく、まだ無名の作家にも行われる事で、ロンドンの美術市場がいかに進んでいるのかがよくわかるお話を沢山伺うことができました。


日本でも、芸術は少しづつ浸透してきているとはいえ、飛躍的に伸びていくのには限界があります。日本はあくまで島国で、一般家屋のサイズが美術品を壁にかけたりインテリアとしてオブジェを置いたり、というのに限界があり、富裕層や実業家のお屋敷でさえ、海外の富裕層豪邸とは比べ物にならない。そもそものスペースに限りがある中での文化の中に、海外からの、特に大陸からの芸術感覚を持ち込んでも限界があります。だから、美術品投資、っていってもあんまりピンとこない。



勿論全然芸術が発展しない、というわけではない。でも、本当にごく一部に限られているので、若干偏る。流行りによりけりで発展したりしなかったりして、一時的なムードが大きく影響して、本物が埋もれていく、という現象も多々ある。

けれども、日本では芸術が伸びにくいからと言って、決して日本人のクリエイティビティが小さいわけではありません。むしろものすごいポテンシャルと丁寧な腕で、世界に誇れる工芸技術というものが数百年に渡って培われてきています。


生活上でのスペースには限りがあるけれど、その代わりにそのクリエイティビティを着物や食器、扇子、襖、絵巻物等・・・あらゆる生活必需品の中に溶け込ませるような形で工芸、美術品が発展しています。浮世絵でさえ、もとは量産のための俳優のプロマイドだし。

けれどもそれらを完成させるために妥協を許さず、自然界のものを利用して、その性質を知り尽くした上でのさまざまな表現法で最終的に完成する品々は、勤勉な日本人ならではの美のあり方。その美の数々は、19世紀にはヨーロッパ各地で多くの著名な作家の影響となってきています。



巡り合わせだなあと思うのは、日本人が好きなヨーロッパの芸術家というのは、日本の美術に特に影響を受けた人が多いと言うこと。


ミュシャ展はものすごく頻繁に国内で展開されているけれど、ミュシャは特に日本人の感覚ならではのデフォルメ美と、曲線美の表現の美しさに魅せられて、アール・ヌーヴォーの代表的な芸術家として知られているし、クリムトも日本人好みだけれど、彼は浮世絵や、着物等からも影響を受け数々の創作を残しています。その表現法の中には、日本人独特の空間の間の取り方や、ふんだんに金箔があしらわれた渋みのある輝き等、所々に日本の美を思わせるものが多々あります。


日本の美に影響を受けたのは美術家ばかりでなく、ドビュッシーラヴェル、サティ等多くの西洋音楽家が影響を受け、そのインスピレーションを音楽の中に投影させています。


なかでもドビュッシーは多くの日本人に好まれていて、私もドビュッシーの「金色の魚」や、「沈める寺」等が大好きで、そうした曲を元に切り絵作品を作ったことがあるのですが、「金色の魚」は、日本の漆絵である「錦鯉」から影響を受けて作られた曲で、魚が躍動感あふれる動きで、水の中を、水面を、果ては空にまで舞い上がっていくような印象を受けるのですが、そうした一つ一つの描写の中に、日本美術の感性が、ドビュッシーを通して溶け込んでいるのです。





漆絵、「錦鯉」






https://youtu.be/bK1R4ZSjteQ
錦鯉に影響を受けたドビュッシーの、
「金色の魚」








「金色の魚」にインスピレーションが湧いて切った、「魚のうねり」タンタン作。



・・・だから、私たち日本人がミュシャだったり、クリムトだったり、ドビュッシーだったりが好みなのは、その人たちの中にある日本美術の遺伝子を嗅ぎ取ってのこと。

ややヨーロッパコンプレックスなところがある日本人よ、世界に影響を与えうる、本来持てる素晴らしい感性に誇りを持て!ですね。


だから、「日本ではアートは難しい。だからアート展開するなら海外へ」も方向性によっては正しい一方、日本国内では、何が日本人にとっての好みなのかをちゃんと見極めて、日常に溶け込んで行くような形での美の表現をすればいい。

そうこうしているうちに、ちゃんと突き詰めて行きさえすれば、国内でも海外でも成り立って行くようなものが作れるようになるんじゃないかなあ。なんてね。

たまには作家らしく想いをつづってみました。