切絵作家の美意識

切り絵作家の活動、美意識等を書いていきます。

「よせもの」と「漆美」@横浜高島屋

 

 

横浜高島屋のポップアップでは、素晴らしい技術を持った人たちが両隣にいました。



左隣は、スワロフスキーを中心に「よせもの」という伝統技術で ものづくり・ブランド展開をされている、MASAAKI TAKAHASHI。



「よせもの」とは、金属パーツを一つ一つロウ付けという溶接技術でつなぎとめ、一つの作品をつくる伝統的な稀少技術とのことで、日本ではこの技術を伝承する場が無く、技術者が10人といないそう。





ヨーロッパ王室の宝飾を思わせる美しさで、その輝きに魅せられます。

一級建築士でジュエリーデザイナーという異色の肩書を持つ高橋さんはこの技術がなくなってしまわないよう、色々と試行錯誤を重ねて、少しでも多くの人に知っていただけるような活動をしています。



https://conectope.com/magazine/detail/1150

高橋さんご本人はとーっても穏やかで、女子会に混じっていてもなんか自然に馴染んじゃう感じの人。

この「よせもの」の技術が、もっと沢山の人に知ってもらえたらいいなあという想いで取り組んでいるとの事。



そして右隣は、漆ジュエリーデザイナーの吉村聖子さん。 京都から出張で横浜に。




https://instagram.com/seiko_yoshimura?utm_source=ig_profile_share&igshid=19fg0o2i1m47n

私は漆を扱いはじめてからまだ一年も経っておらずひよっこですが、吉村さんは、指輪やピアス、ネックレス等を漆の美しい艶で演出します。

ジュエリーだけでなく、器等も、「これぞ漆美!」というような作品を制作されていて、脈々と続く工芸技術を、モダン、伝統様式の両方で形にしていて、ただただ尊敬のまなざし。



たまたま両隣が伝統に深く関わる技術を持った人たちだったので、沢山刺激をいただきました。

伝統が、伝統工芸が、未来に残るって、未来へと繋がれて行くって、どういうことだろう。きっと、こういうことなのだろう。

何代も続く工芸職人のお家が伝統を守り続けていく一方、若者達が手探りでその良さを発見して、「今」に受け入れられるような物に置き換えて試行錯誤して作る世界もある。

保守派とリベラル派、どちらも必要不可欠で、時にはお互いその狭間で悩む。それでも作り続けていくことで、いつしか世の中の常識を少しづつ変えていく。

ちょっとづつ変化していくけれど、根っこの部分は変わらない。

わたしも、わたしのものづくりを通して、ほんの一部でも、そんな流れの一端になれたら嬉しいなあと思う今日この頃です。