レッドタートル、滑り込みセーフで観れました。
六本木TOHOシネマでは21日までとのことで、
間に合って良かった
ジブリとは別物の芸術性溢れる作品で、
「ジブリっぽかった」のは、
時々出てくる魚の表情や、カニの仕草くらい。
監督はマイケル・ドゥ・ビットさん、オランダ出身で、「岸辺のふたり」でアカデミー短編アニメーション賞を受賞した監督さん。
この映画、壮大で孤独で、リアリティがあって、とても不思議で…
日本人の感覚ではなかなか料理しきれないと思われる世界観でした。
第69回カンヌ国際映画祭・ある視点部門で特別賞受賞
とのことですが、ある視点部門は、独特で特異で、
今までにあまり観たことのないような作品への賞だとか。
確かに独特で特異。
けど決して理解しづらいものではなく、とてもシンプル。
無人島に一人取り残された男の悲しみも喜びも、
些細な心理描写も丁寧で、ひたすら美しいです。
ことばが一切出てこないのも、1つ1つの情景や気持ちの変化が
より引き立てられていて引き込まれました。
映画館で観れて良かった。
以下、解釈の1つとしてのネタバレの感想。
結局レッドタートルの存在は何だったのか。
実はこの物語、ファンタジーなどではなく、
全て無人島に取り残された極限状況の孤独さが生み出した幻だったのではないか。
レッドタートルは、そんな男の生涯を見守り続けたのではないか。
前半で男はしばしば幻覚を見るようになる事から、
そう解釈出来る一方、二人の間にできた息子が成長していくにつれて、
たった1つの瓶から、ここではない何処かへの憧れを抱くようになるあたりは、
全ては幻などではないと思わせるような
片鱗を散りばめています。
本当に不思議な事が起こって男と不思議な女が結ばれた不思議な物語、
という解釈と同じくらい、
全て幻だったのかもしれない、と意図的に思わせるような演出。
どちらの解釈も正しいような、
ただのファンタジーというだけではない
物語だったと思います。
観終わった後暫く席を立てず、
ふわふわした足取りで映画館を後にしました。
本当に見てよかった。
■「ながら観映画観賞」では、切り絵作家タンタンが、切り絵をしながら、ブログを書きながら、事務作業をこなしながら、色々やり「ながら」感情を動かされた映画のちょっとした感想を書き綴っています。